災害が発生するたびに「なぜこんなことで災害が起こったのだろう」と考えさせられることがよくあります。例えば「角パイプを肩に担いでいて、その一本が足の甲に落ちた」「梁筋の上を歩行中、足を踏み外して打撲した」等々。
人間の行為を探ってみると、「近道反応」と「省略行為」という二つの傾向があることがわかります。
「近道反応」とは定められた道を通らずに近道をすることで、現場で枠組足場を登り降りしたり、通路を通らず材料の上を歩くなどの行為のことです。
「省略行為」とは面倒だから一回でやってしまう、慣れているから安全具を使わなくても大丈夫と、決められた手順や道具を省略してしまうこと。
現場のいたるところで当たり前のように行われている「近道反応」や「省略行為」の二つを一括して「人間の横着本能」といいます。
この横着本能は、作業に慣れた頃、つまり注意意識が低下した頃に出てくるのです。
一日のうちで最も災害が多発している時刻は午前10時と午後3時前後ですが、これは作業が始まってちょうど作業に慣れた時間帯なのです。
不安全行為をなくすためには、横着心をなくすことです。現場の職長は作業員一人ひとりの動作を監視して、横着心が行動に出ていれば即刻注意を与えてください。