有機溶剤と健康障害

有機溶剤は、塗装や接着、洗浄、印刷など様々な現場で使われていますが、それだけに、不注意による事故が多く発生しています。有機溶剤は、揮発性があるので、常温でも蒸気となる性質があります。

(1)急性中毒

高い濃度の蒸気を吸入すると急性中毒にかかり、酔っぱらったときのような症状をみせます。特に恐ろしい点は、意識を失って倒れ、そのまま死亡する危険性が大きいことです。
また、塗装作業などでは、ふらついて足場から墜落する危険もあります。換気の悪いところでは救助に向ったものも急性中毒にかかることもあります。
有機溶剤は不快な悪臭を放つものが少ないため慣れて安易に扱い、シンナー遊びに見られるように、中枢神経に麻酔作用を示し、酒に酔ったような気分になることがありますが、これも中毒です。

(2)慢性中毒

比較的濃度の低い蒸気を長期間吸入すると慢性中毒になり、「疲れやすい」「だるい」「頭が痛い」「めまいがする」などの症状がでます。

a.肝臓障害
黄疸がでたり、発熱、だるい、疲れやすい、食欲がなくなるなどにより元気がなくなります。肝臓は、体内に入った有害物を解毒する大切な役目がある重要な臓器だけに怖い障害です。
b.腎臓障害
腎臓に障害が起こると、尿にたんばくが出たり、血尿がでたりします。からだがむくむこともあります。
c.貧血
昔は、ベンゼンによる重症の貧血が有名でした。最近では、重症の貧血は少なくなりましたが、疲れやすくなり、息切れもするなどにより仕事の能力が落ちるので、注意しなければなりません。
d.皮膚や粘膜の炎症
有機溶剤は、皮膚からも吸収されます。皮膚につくと、ひりひりと痛んだり、水泡ができたり、ひびわれなどができることがあります。シンナー等の有機溶剤で手を洗うと、そこから吸収されますので注意してください。このほか、目・鼻・のどの炎症が起こることがあります。

(3)健康管理

健康診断により、肝臓、腎臓の障害や貧血の有無などの有機溶剤による影響をチェックすることができます。健康診断で異常者がでる職場では、作業者に不注意はないか、また、職場の安全衛生管理に問題がないかをチェックし、問題点があれば改善をすることが必要です。定期健康診断は、欠かさず受診することが大切です。

〔安全くん101号‐4頁〕