現場の達人はギリギリの勝負はしない?!

剣の達人が、背後から迫る刺客の気配に気づき、身を翻して長刀を一閃・・・。

時代劇でよく見られるシーンですが、この「気配」とは何だったのでしょうか?
見えない背後の刺客の足音、振動、空気の動き、におい・・・?
とにかく相手を察知し、先んじてアクションを起こした。いわゆる五感を総動員して危険を回避したことになります。

では、工事現場で迫る危険を回避するとなれば・・・。
基本的に危険な箇所には立ち入らないことに尽きますが、今回のような重機と作業員が接近して同時進行で作業を行うようなケースでは、危険を警告する様々な工夫があります。
機械に付いている安全装置の警告音、回転灯による光、ブルブル振動による警告装置など。いずれも視覚、聴覚、触覚に訴え、危険が迫っていることを知らせてくれます。

実際には、喧騒な現場の中で作業に集中していると、うっかりしてその警告を“危険”とは受け取らず、「聞こえているのに、目にしているのに」アクションをとるのが遅れた、という事例が多々あります。少し眠かった、疲れてボンヤリしていた、全く別のことを考えていた、というような状態では、折角の“警告” も無意味になります。つまり、体調管理、気持ちの切り替えなどをしっかりして高い意識レベルを維持すること必要です。

しかし、どんな現場でも四六時中危険が迫っているわけではありません。
重機の動き、周囲の人の動きなどに注意しておけば、あわてて逃げ出さなくてはならないような状況にはならないはず。
剣聖と呼ばれた塚原卜伝の日常は、とにかく危ない場所には近づかず、勝負をする際には事前に相手の太刀筋などを入念に調べた上で立ち会ったとか。もちろん抜群の腕はあったのでしょうが、生涯一度も負けなかったのもうなづけます。

やはり達人とは、ギリギリで勝負するのではなく、事前の準備や段取りで勝負するようです。現場の安全も同じ。安全装置などに頼らず、余裕を持って安全を確保するようお願いします。

〔安全くん102号‐2頁〕